つまり、これまでのダイヤモンド砥石は、ファインセラミックスを研削加工するとき加工物の硬度が高いため、その衝撃から砥石自体がすり減ってしまったのです。


ぽろぽろと崩れ、ちょうど歯ぐきを悪くした"歯槽のうろう"状態をきたし、能率も精度も芳しくなかったというわけです。


昭和60年頃ですでに、東芝には大は直径60センチ近い円盤から、小は耳かきの先ほどの"へその穴"を研削できるものまで多種多様なファインセラミックス用ダイヤモンド砥石が生産されています。


ただし、材料は高価なダイヤモンドのこと。


直径60センチほどの砥石になると1000万円以上はするといいます。



折角開設したシンガポール領事館は、さし当り名誉副領事・胡旋澤の後任者の決定を急ぐ必要がありました。


しかし外務省は後任者の件は緊急の必要事項でもありません。


そのため、当分の間は領事不在のままにしておくとしました。


そして、しばらく事態の推移をみた上で、ついに明治13年12月28日日本は香港市場をどのようにして開拓したかをもって廃館にするという決定を下したのです。


安藤領事は、いまのところ香港と欧州の間に領事館がひとつもないのですから、できるだけそのまま存続するようにという意見を具申しましたが、残念ながら聴き入れられなかったのです。


消えかかった香港の火一方、香港に開業した三井物産香港支店はどうなったか・・・。


三井物産は開業当時から勤務していた執行弘道が帰国し、そのあと明治12年8月には金子弥1が支店支配人となり、明治13年7月には第一銀行と手を切って独立するにいたりました。


しかし物産の輸出入をみると、日本からの輸入は日本の小銀貨、銅貨のほか、干鱈、干飽、樟脳、摺附木など、日本への輸出は台湾赤糖、板砂糖が主でしたが、明治14年には輸出入とも、商品の種類、また金額も大幅に減少し、業績はあまり芳しくなかったのです。


そこで物産もまた明治15年1月、3か年半の開業の末、閉鎖に追いこまれてしまったのです。


物産と並んで香港に支店を設け進出してきていたのが、国策会社のひとつであった廣業商会です。


廣業商会は明治9年、長崎県人笠野熊吉を社主とし、主として北海道産の海産物の諸国輸出を目的として設立されたものです。


資本金60万円は内務省より無利子で貸与をうけた国策会社で、当時における対中貿易助成機関でした。


本店を函館におき、支店を東京、横浜、大阪、長崎にもっていましたが、明治11年秋、三井物産に続いて香港に物流センターの支店を設けることになったのです。

"ミソ"は3つ。


それは、


1.ダイヤモンド粒の周囲を特殊コーティング(被膜)したこと


2.切れ味をよくするためにダイヤモンド粒をこれまでより体積比で2倍以上に高め、これを特殊フェラー
(充てん剤)を添加して固めたこと


3.砥石とアルミニウム板の間に合成樹脂材料のパッキングを用い衝撃を和らげたこと


この3つです。


3.についてはともかく、1.と2.には"特殊"の文字が登場しています。


ここが、さきのキャッチフレーズを生んだゆえんで、目下、内外に特許を申請中。


54年から5年がかりで研究開発にたずさわった東芝生産技術研究所の精密加工研究部長は次のようにいっています。


「特殊コーティングは銅、ニッケルなどの金属材料を混ぜ合わせたもの。


特殊フェラーは樹脂系の結合剤を使っている。


これ以上は、そのものズバリになるのでかんべんしてほしい。


いままではメタルボンドがほとんど。


わたしたちは5年かかって切れ味鋭く、脱落しにくいという最大の難関を突破した」。



ダイヤモンド砥石は、0.1ミリ程度のきわめて小さなダイヤモンドの粒を結合剤で混ぜ合わせ、焼いて固めたものです。


この砥石を円盤状のアルミニウム板の円周部に取り付け、高速で回転させることにより、対象物を研削加工するのです。


しかし、ファインセラミックスなど高硬度のものに取りかかると、衝撃によって結合していたダイヤモンドの粒が脱落しやすいのです。


これが加工能率の悪さや砥石のすり減り、加工精度の悪さになっていました。


東芝と大阪金剛製砥がつくり出したものは、ダイヤモンド粒の脱落防止と能率の向上にポイントをおいて研究開発したもので、いってみればファインセラミックス専用のダイヤモンド砥石ということになります。



なぜファインセラミックスが新素材の若きエースとして脚光を浴び、日増しに注目の度合いを高めているかといえば、硬くて、熱に強くて、薬品にも侵されないからです。


いわば3拍子そろったこの新素材は、たとえば硬さを例にとると"ヌープ"と呼ばれる硬度値は3000前後を示します。


これは、他の物体によって傷つけられたくないという抵抗の尺度で、素材としてはダイヤモンドの8000につぐものです。


この、やたら硬いが魅力たっぷりのファインセラミックスを高能率に研削加工する砥石を紹介しましょう。


一歩リードしているのが東芝です。


ファインセラミックスを加工するのだから、それより硬いダイヤモンドを使ったもので、昭和58年暮れ、開発に成功。


すでに一部を自社用として使用開始、市販用は昭和60年12月をメドに、タイアップした工業用砥石メーカーの大阪金剛製砥で量産販売します。


キャッチフレーズは


「これまでのダイヤモンド砥石より、加工時間が10分の1に短縮、砥石寿命は20倍」。



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